日本大学アメリカンフットボール部の悪質タックル問題
タックル受け選手生命にも関わる可能性もあった関西学院大学の選手が昨日試合に復帰した姿をみてホッとされた方も多かったと思います
逆にタックルをした日本大学の選手は心に深い傷を負って自ら先生命を絶つと発言しています
この二人の選手の経験はお使いの大きな悲劇だと思います
今日の持論公論はこの悲劇を単なるを汚点として終わらせないためにスポーツ界に今何が必要かを考えます
解説のポイントはまず関西学院大学が信用できないとした日本大学からの回答書の内容を制します
そして現在の日本大学のアメフト部の指導方法を検証しスポーツ界の改革への道を叶えます
今回の問題で関西学院大学が最も強く求めたことは悪質タックルがなぜ行われたかの真相究明です
タックルをした日大の選手は監督コーチの指示だったと証言し感覚がもう直接本人からの説明も状況と言って信用できるとしています
一方監督コーチの指示ではないとする日大の回答書は選手が精神的に追い詰められ誤って解釈認めた説明しています
関学側は選手にヒアリングも行わず精神状態を原因としているのはとても納得できる内容ではない、誠意ある回答として受け取ることはできないとして定期戦を中止することを決断しました
大学アメフト界の黄金カードで51回目もの歴史を刻んできた定期戦の中止を日本大学は重く受け止める必要があります
関学側は今後は第三者委員会、関東学生連盟に加え、捜査機関によって真相が解明されることを希望しました
今回の問題の真相究明の難しさは日大側が何があっても絶対に認めたくない点があるからだと思います
タックルした選手は、相手の司令塔を最初のプレイで潰せ、秋からの大切な時に相手の司令塔がいなければと得だろ、できませんでしたじゃ済まされないぞ、など試合の三日前からの言葉とその時の心理状態を具体的に説明しています
一方監督とコーチはそのほとんど誤った解釈、つまり誤解だったとして指示を否定しています
両者が噛み合わない最大の理由は証言する目的が違うからだと思います
選手の方は真相究明のためにできるだけ具体的に証言したいという思いが伝わってきます
一方、監督コーチは真相よりも部の存続を優先させているように思います
つまり怪我をさせろ、ルールを無視しろということを指示したことを認めれば、それはスポーツではなくなりスポーツ団体であることも否定することになります
まずは何としても廃部だけは免れたいという思いが最優先のように私には感じられます
そのための責任逃れのような説明は真相究明を阻み、選手に責任を押し付けているという批判を浴びても仕方ありません
監督コーチの指導の結果反則行為が行われたのは事実です
誤解と言うのであればその中身の説明をもっと細かく説明する責任はあると思います
ところで今回の悪質タックルを生む土壌となったのは現在の日大アメフト部の時代おくれとも言える指導法です
監督コーチの会見から見えたのはパワハラとしか思えない指導法です
暴力や体罰人格を否定したり、練習を妨害したり、理不尽なことを強要したりと圧力をかけて精神を鍛えるというものですけれども、これは鍛えるというよりは逃げたり止めたりすることを前提としていますので育成という要素はありません
生き残った選手のみでチームを組めばいいという方法です
つまりこれは指導でとはなくて選別といえます
かつて大学スポーツをよく見られたこのパワハラ指導法はなぜ生まれるのか?
大学の運動部の指導者はほとんどが OB 、しかも仕事をしながらの指導ということもあって常に見られるというわけではありません
そうなると上級生が下級生を指導するという構造が出来上がり、そこに行き過ぎた上下関係が生まれパワハラや体罰の温床が生まれてきます
そしてそこで学生時代を過ごしたOBが各競技団体や全国の学校やクラブで指導者となるわけです
この循環が長年スポーツの現場で様々な問題を起こしてきたひとつの根源とも言えます
では、改革の道はどうしたらいいのでしょうか?
関西学院大学アメフト部の鳥牛監督は「恐怖のもと体罰で何かが成り立つなんてありえない体質改善のチャンスではないか」とかだっています
今多くのスポーツの指導者は同じ考えだと思います
教育の場でのスポーツは人間教育・人格形成が最大の目的です
自ら目標設定し自らのアイデアで目標を実現してそのプロセスが何よりも大切だと言われています
多くの指導者はそれを実行しています
箱根駅伝四連覇中の青山学院大学駅伝チームは、学年の枠を超えグループを作って目標管理ミーティングを行い、目標設定とそのプロセスをわかりやすく共有しています
また、二刀流で注目の大谷翔平選手が大リーグに行く時に高校一年の時監督の指導で作った目標達成表が大きな注目集めました。
真ん中にドラフト1位という目標設定し、そのために必要な八つの要素で周りを取り囲んで、さらにその要素のためには何が必要かを考えるという表です。
目標に向けてのプロセスを明確にしています
さらに、もう一つは最近注目されているのがスポーツの指導の時にかける言葉の研究です
ペップトーク、激励の言葉、気持ちを前向きにする言葉です
日本ペップトーク普及協会代表の岩崎さんによれば今回の日大の選手にかけられた言葉は、まあ激突のあるスポーツなので激しい言葉がよく使われる競技とはいえ、出場を妨害して恐怖を与えて理不尽なことを強要するマイナスの言葉ばかり、ペップトークとしては最悪の例だと話しています
最近よく使われるペップトークの例としては、楽しんでこいですが、これは楽する楽しんでこいではなくて、愉快の愉のを楽しんでこい、つまりこの字の通り人の心を前向きにする意味だと岩崎さんは話していました
このペップトークはアメリカのスポーツ界では1940年代から研究がすすんでいて特にアメリカンフットボールの指導者が一番進んでいるということです
有名な例は2001年 indianapolis colts を率いてアフリカ系アメリカ人の監督として初めてスーパーボールを制したトリニダンジー監督はここぞという時に言う言葉わかってたそうです
YesYouCan
まあオバマ大統領の演説で有名な言葉ですがオバマ大統領の選挙戦の前にアメリカのスポーツ界では有名だったそうです
こう見てくるとスポーツ界改革の重要なポイントが指導者の育成であることがわかります
各部任せにした時代は終わりにしなくてはいけません
大学が主導者の人選から研修など責任を持つ必要があります
今回のように一つの問題が大学のブランドイメージに大きく影響してきます
さらに各大学任せにするのではなくて、スポーツ省が来年創設を目指している日本版のncaa、まあ ncaa というのは全米大学体育協会の略称ですがない大学や競技団体を横断的に管理する組織です
日本版は200大学、40の学生競技連盟の参加を目指していますが、指導者の研修や情報を共有して学生スポーツが本来あるべき姿を追求してほしいと思います
そして最後に一つ、きのう怪我から復帰した関西学院大学の選手はタックルをした日大の選手に戻ってきて正々堂々と戦おうと訴えました
スポーツを通しての人間の再生もスポーツの力だす
スポーツ界での再生プログラムの整備を是非を求めたいと思います