回復し続けてきた日本の景気に黄色信号が点っています。
今日発表された今年1月から3月の GDP 国内総生産は2年3か月ぶりにマイナスに転じました。
経済に何が起きているのか回復を続けるにはどうしたらいいのか?今日はこの問題について考えてみたいと思います
解説のポイントはこちら
マイナスの成長これは一時的なものという見方が強い一方、先行きにはこれまでにない黒い雲が広がっています
そして景気回復を続けるためには企業が稼ぐ力を増せるかどうかが鍵を握ります
この3点です
まず GDP の成長率こちらは前の3ヶ月と比べた成長率が1年間続いたらどうなるかを示した年率の数字です
ゼロ、この線より下だと経済は悪化、上だと改善したことを示します
推移を見ますと2015年の10月から12月に一時的にマイナスに転じた後、2016年そして2017年と2年にわたってプラスの成長が続いてきました。
それが今日公表された今年1月から3月の速報値はマイナスの0.6%、2年3ヶ月ぶりにマイナスに転じました
その要因を見ていますとまず GDP の半分以上を占める個人消費が大雪の影響や野菜の高騰で買い物を控える人が多かったことなどを背景にわずかなマイナスになった他、企業の設備投資も一年半ぶりにマイナスに転じました
またこれまで景気の牽引役を果たしていた輸出もプラスではありますがアジア向けの電子部品の需要が落ち込んだことなどから大幅に鈍化して消費や設備投資の落ち込みをカバーできなかった点が挙げられます
今年は世界同時の景気回復に円安そして外国人観光客の増加やオリンピックパラリンピックを前にした建設需要といった追い風を受けて景気は順調に回復するこのまま来年1月にリーマンショックの前を超えて戦後最も長い景気回復となる可能性も視野に入ってきた、今年の初めには多くの経済の専門家の間でこうした楽観論が広がっていました
しかし早くも最初の三ヶ月にマイナス成長となり景気回復に黄色信号がともった形です
今相次いでいる企業の決算発表でも全体で過去最高益となった昨年度から一転し今年度は現役になるという見通しです。
日本経済はこのまま悪化の方向に向かうのでしょうか
結論から言うと今回のマイナス成長は天候や電子部品市場の調整など一時的な要因によるもので好調な建設需要家外国人観光客と言った追い風は変わっていません
一時的な要因が改善する4月以降プラスの成長に戻るというのが大方の見方です
ただその先を見るとこれまでにはなかった黒い雲が広がっているのも事実です
まずは米中貿易摩擦への懸念です
対立が激しさを増すと日本を含め世界の貿易量が減るのではないか
またアメリカの金利引き上げのペースが早まるとアメリカや新興国の景気に陰りが出るのではないか先に体の不安から円高が進むのではないかと言った自然が広がっています
さらに原油価格が高騰していることからガソリンなどの値上がりで家計の負担が増える心配も出ています
こうした不安が現実のものになっていくと年初の予想より早く世界経済が減速に転じ景気回復に本格的に赤信号が灯る懸念も拭えません
ではどうしたらいいのでしょうか
世界経済に不安が広がるなか海外の動向に大きく揺さぶられない経済を作るには内需を強くすること、具体的には企業が賃金を引き上げ国内の消費を支えていくしかありませんそれができるかが景気の先行きを左右する大きな鍵になるといってもいいのではないでしょうか
その企業、先ほども触れたように今年度全体的には減益の見通しです
しかしそれにもかかわらず決算の発表の場で大企業の経営者の口からは新しい勝負が出来る体質に変わる耐性ができたですとか先手先手で授業をシフトしていければ増収増益を保てると言った前向きのコメントが聞こえてきました
キーワードは稼ぐ力です
企業はここ数年儲からない事業から撤退し付加価値の高い事業に軸足を移す見直しを進めてきました
また工場や倉庫でロボットを導入したりスーパーで無人レジの取り組みを薦めたりするなど婦人科を閉めることで脂肪を落としスリム化してきました
さらに今急速に取り組みが進んでいるのがオフィスの事務作業の生産性を高める取り組みです
中でも注目されているのが rpa ロボティックプロセスオートメーションと呼ばれ技術です。
システムを組み込むことで比較的簡単なパソコンの作業を無人化する取り組みです
例えば昨年度から本格的に導入を始めた三井住友銀行企業、企業に融資をするかどうか判断するのに必要な売上や財務株価といった基本的なデータを様々な場所から集めてきてまとめるという作業をこの技術に任せています
担当者が一社あたり1時間かかっていた作業が自動的に10分で出来上がるようになったと言います
3年間で単純に計算すると1500人分の作業を無人化する計画です
またオリックスグループでも旅行代理店の店舗やネット経由で申し込みがあったレンタカーの受付書類をパソコンに入力するという作業を自動化する取り組みを進めています
入力ミスがなくなる効果もあり今後グループの他の企業にも広げる計画です
事業の見直し工場などの無人化に加えてオフィスでも無人化を進めることで企業は一段と筋肉質な体を作ろうという狙いです
ソフトを組むだけで比較的安いコスのため中小企業でも導入する動きが広がっています
ただ筋肉質になるだけでは稼ぎは増えません
人口の減少で人手不足が深刻化していく中、企業は貴重な人材についてゆとりが出たぶん営業力を強化して新たな客の開拓に取り組んだり語学力を磨いて海外事業を強化したりあるいは上司の人と交流をして新たなビジネスを創出したりすることを通して後押しする
さらに新たな事業に向けた設備投資家研究開発にも力を入れ企業の稼ぐ力を身が欠かせません
働く側にとっても無人化で単純な組み立てや単純なパソコン作業から解放されて例えばロボットに新たな機能を組み込むですとか企画開発と言ったより創造的な仕事に力を入れることができるチャンスと考えることもできます
その上で大事なのは社員の働きに報いるためにも企業が賃金を増やすことです
消費を後押ししない子を強くするためにもその点が今後の大きな課題となってきます
為替は今日一ドル110円台に戻るなど円高の動きは落ち着いています
アメリカの消費が堅調なことを示す統計も出ています
世界経済が好調さを保っている間に企業の稼ぐ力を増していく、そして賃金を上げていく、そうすることで景気回復が続くだけでなく、今度こそ多くの働く人が生活が豊かになったと感じられる力強い景気回復の実現にも繋がっていくのではないでしょうか。