こんばんは、ニュース解説時論公論です。
安倍総理大臣はアメリカ南部フロリダ州訪れトランプ大統領と2日間にわたり首脳会談を行いました
両首脳は6月上旬までに開催される見通しの米朝首脳会談を前に北朝鮮の核とミサイルの廃棄を実現するため最大限の圧力を維持することで一致、一方通商問題では両首脳の思惑の違いが浮き彫りになりました
今夜は首脳会談の結果を読み解き、今後の日米関係の行方について考えます
日米首脳会談は現地時間の17日と18日の二日間フロリダ州にあるトランプ大統領の別荘マールアラーゴで行われました
両首脳は3回目となるゴルフも楽しみ親密ぶりをアピール
揃って記者会見に臨みました
安倍総理は北朝鮮情勢について史上初の米朝首脳会談という歴史的な転換点を迎えている
日米両国は核兵器およびあらゆる弾道ミサイルの完全検証可能かつ不可逆的な方法での廃棄を求めていくと述べました
その上で北朝鮮に対する最大限の圧力を維持し非核化への具体的行動を実施するよう求めていく方針を共有したと述べました
トランプ大統領も過ちは繰り返さない成功すると思わなければ米朝会談は開かないし、実りがないなら立ち去ると北朝鮮に厳しい態度で臨むと強調しました
北朝鮮の完全な比較かという大目標とそのために最大限の圧力を維持するという基本戦略では一致したわけです
今回の会談はトランプ大統領が金正恩委員長との会談を決断したことを受け安倍総理が申し入れて実現しました
それまで日本は北朝鮮に最大限の圧力をかけ対話のための対話はしないというスタンスでした
突然のように見えたアメリカの方針転換、しかも先月下旬には順調の首脳会談が行われ今月27日には南北首脳会談も予定されています
日本は蚊帳の外に置かれているのではないか?北朝鮮が対話に降りてきたのは日米が主導して圧力をかけてきた成果だ、政府はこのように説明しましたがその一方でアメリカと綿密なすり合わせを行う必要に迫られました
北朝鮮は核の凍結や放棄を約束した1994年の米朝枠組み合意家2005年の6カ国協議共同声明の後も核開発を進め過去四半世紀にわたり約束を反故にしてきた歴史があります
安倍総理としてはトランプ大統領が核問題で安易に妥協することがないよう釘をさす必要がありました
北朝鮮が査察の受け入れなど具体的な行動を示さない限り圧力を緩めるべきではない完全で検証可能かつ不可逆的な非核化を目指さなければならないこの基本方針を再確認することが至上命題でした
それだけに今回大統領から冒頭のような言質を取ったことを日本政府は大きな成果だと受け止めています
一方トランプ大統領は会談の最中の18日朝 CIA 中央情報局のポンペオ長官が先週北朝鮮を極秘し、キム委員長と会談したことをツイートしました
首脳会談の詳細は今詰めていると事前交渉が進んでいることも明かしており米朝会談への大統領の本気度を示すものと受け止められています
拉致問題でも両首脳は息の合ったところを見せました
拉致問題は北朝鮮が被害者の再調査を約束した2014年のストックホルム合意のあと2016年に北朝鮮が調査の中止を一方的に通告してきたのを最後に進展がありません
安倍総理は拉致問題を米朝会談で取り上げるようトランプ大統領に要請すべての拉致被害者の即時帰国に向け北朝鮮への働きかけを強化すると述べました
トランプ大統領もこの問題が安倍晋三の心にある最も重要なひとつだとわかっている拉致被害者を連れ戻せ利用できることはすべてやると申しました
日本国内では拉致問題が置き去りになるのではないかという懸念が少なからずありましたから安倍総理も大統領の発言を心強く思ったでしょう
ただ米朝会談で拉致問題を提起したとしても被害者の帰国という形の解決にすぐに結びつくかどうかは現時点では見通せません
拉致被害者の家族会代表の飯塚繁雄さんも政府は綿密な計画のもとに戦略と戦術を練ってほしいと話しています
もう一つ両者の認識をすり合わせる必要があったのがミサイルの脅威の受け止めでした
北朝鮮はアメリカ本土に到達できる ICBM、 大陸間弾道ミサイルの開発に固執してきました
アメリカ国内でも不安が高まっており米朝会談でトランプ大統領が ICBM の開発阻止を優先しようとしても不思議ではありません
ただ日本にとっての脅威は北朝鮮がすでに大量に配備し日本を射程に収める中距離弾道ミサイルです
ICBM の凍結で成果があっても中距離ミサイルが放置されれば日本への脅威は消えません
安倍総理は記者会見であらゆる弾道ミサイルの廃棄を求めていくことで一致したと強調しましたがトランプ大統領は少なくともこの場ではこれに言及しませんでした
日本を標的にしたミサイルだけが残される最悪のシナリオを回避するためにもこの点は今後もあらゆるレベルでアメリカに念押しをしておく必要があります
両国の違いが浮き彫りになったのが通商問題です
トランプ大統領は秋の中間選挙を見据え新車を意識して日本との間の貿易赤字を削減することに強い意欲を持っています
日本との FTA 自由貿易交渉の行使協定の交渉を入にも意欲を示しています
これに対し日本は自動車や農業の分野で大幅な譲歩を求められるおそれのある二国間の FTA は受け入れられないという立場
ただ決定的な対立を避けたい安倍総理は今回貿易や投資などを協議する新たな対話の枠組みを提案合意したと発表しました
しかしこの発表の場で両首脳の思惑の違いが鮮明になります
安倍総理はアメリカが二国間取引に関心を有していることは承知しているが日本は TPP が最善と考えていると主張
これに対しトランプ大統領は TPP には戻りたくない二国間協定の方がアメリカの労働者にとってより良いと強硬姿勢を崩しませんでした
日本としては新たな枠組みの創設でとりあえずアメリカの性急な要求を交わした格好ですが日米の思惑は同床異夢にも見え今後の交渉が厳しいものになることは間違いありません
今回の日米首脳会談について政府関係者からは核も拉致も日本の要望が入れられ2章でもそれほど押し込まれなかったと高く評価する声が聞かれます
ただ私はこれは楽観的に過ぎる分析ではないかと思います
取引・ディルの達人を自称するトランプ大統領には常に手のひら返しの不安がつきまといます
安倍総理の働きかけが功を奏したかどうかは米朝会談の結果を見るまでは判断できません
また通商では自国優先の意図をむき出しにするトランプ大統領の構成に日本が防戦をを強いられてるようにも見えます
内向き志向をより強めるトランプ政権と奔放さをよりましているかに見えるトランプ大統領にどのように向き合うのか日米関係はかつてなく難しい舵取りが求められる曲面になっています