こんばんは
アメリカで人種差別の撤廃を求めた公民権運動を率いてノーベル平和賞を受賞したキング牧師が1968年に暗殺されて(4月)4日で50年になります
私には夢があると語った演説で知られその生涯は人種の平等と貧困の解消を追い求めたものでした。
しかしこれらの課題は解消するどころかますます
深刻化しています
キング牧師の訴えを通してアメリカ社会の現実とこれからを考えます
解説のポイントです
まずキング牧師が人種差別と貧困という二つの課題にどのように向き合ったかを振り返ります
その上で50年が経ったこれら二つの問題を取り巻く厳しい現場を見ます
最後にキング牧師の訴えが今の時代に問うものを考えます
アメリカで1950年代から60年代にかけて黒人差別の撤廃を求めた公民権運動を率いたキング牧師です
1963年に首都ワシントンで行われた雇用と差別撤廃を求める大規模なデモで「私には夢がある」と演説して自分の子供の世代は肌の色ではなく人格によって評価されることを願いました
当時のアメリカでは奴隷制度の名残が根強い南部で黒人は特に厳しく隔離され水飲み場も黒人様と白人用に分けられ黒人への暴力やテロを起こしていました
これに対してキング牧師は座り込みや裁判など平和的な行動によって世論に訴えました
ワシントンでの演説から5年後の1968年4月4日南部テネシー州メンフィスのホテルのバルコニーにいたところ白人の男に銃殺されました
39歳でした
キング牧師の生涯は大きく二つの課題に挑んだものでした
まず人種差別と戦った公民権運動です
これにより1964年には公民権法が翌65年には投票権法が成立し方や制度面での差別の女性が進みます
しかしキング牧師は公民権運動の成果をさらに発展させるべきだと考え暗殺されるおよそ1年前運動の焦点を人種差別から貧困問題へと移しました。
新しい運動は経済的不正義との戦いと呼ばれ貧困層の雇用家住宅それに教育の改善を政府に求めました
それから50年、人種差別にしても差別にしてもこれら二つの課題は解消するどころかますます深刻化してるのが現状です
まず人差別をめぐって最近問題になってるのが警察官によって黒人の容疑者が射殺されることが相次いでいることです
先月10月18日もカリフォルニア州で警察が車上荒らしの疑いで22歳の黒人の男性を追跡したところ振り返った男性が何かを手にしていたため銃を向けられたと思い合わせて20発を発砲しました
しかし男性が手にしていたのは銃ではなく携帯電話でした
後でわかったこととはいえ丸腰の男性に20発の打ったのは行き過ぎた対応だとして抗議行動が広がっています
ワシントンポスト紙によりますと去年一年間警察によって射殺されたまるごしの黒人男性は19人にのぼります
人口比でみて黒人男性は白人男性よりも2倍以上警察に射殺されてる人の統計がありもう家制度面での差別撤廃されたとはいえ意識の面での差別や偏見が強いことが背景にあると指摘されています
次に貧困問題にしてもあったが格差が1968年で大学教育を受けた時の割合は16%しか黒人は5%あまりでした
この50年で白人黒人とも大学進学率は伸びました
ただ今では白人の40%以上が大学を置いているのに対して黒人は20%あまりに止まっています
その差は3倍から小さくなったとはいえ以前2倍以上あります
子どもの貧困率にしてもアメリカ全体では18%あまりですが人種別で見ると白人では11%近くであるのに対して黒人では30%を超えています
確かに黒人は白人と同じ学校に通うようになった他、人差別を積極的に是正する措置に乗って雇用面でチャンスを得られた黒人は増えました
しかし現状の改善のペースでは平均的な黒人の家庭が平均的な白人の家庭と同じ経済レベルに追いつくにはさらに228年かかるという試算もあります
しかも人種問題と貧困問題は複雑に絡み合いながら新たな広がりが見られます
製造業の職を失わなどした白人労働者の貧困が広がりそれが既存の政治への不信感につながりトランプ大統領が当選する原動力になったことはしばしば指摘されてることです
そのトランプ大統領は今年1月アフリカの国々を極めて下品な言葉で侮辱したと伝えられました
また白人の経済的な不満を背景に白人こそが最も優れた人種だと公言してはばからない白人至上主義団体も公然と活動するようになっています
黒人初の大統領となったオバマ前大統領の当選でアメリカの人種問題は改善すると期待が高まった時期もありますが現状は後退の一途を辿ってると多くの人が感じています
しかしこうした厳しい現状だからこそキング牧師の訴えが意味を持ってると言えます
キング牧師は晩年に経済的不正義との戦いをかけた際、貧困はどの子にとっても ではないと繰り返し強調しました
その状況は今も変わらないどころかむしろ悪化しています
アメリカで最も豊かな上位1%は50年前は国全体の収入の12%あまりを得てていましたが今では20%以上えるようになり富の集中はますます進んでいます
その一方で貧困層を中心に福祉や医療が不十分で新生児死亡率の高さは先進国で最悪です
キング牧師の暗殺の直後に実行された信者の行進と呼ばれた行動ではワシントンの中心部を数千人が占拠して政府に貧困対策の強化を迫りました
この行動には黒人だけでなく白人やアジア系など様々な人種の人たちが参加しました
今の時代こそ全ての人種が協力することが必要とされています
先月キング牧師の訴えが再び人々を勇気づけました
ワシントンで行われた数十万人が参加した銃規制の強化を訴えるデモです
その前にあった銃の乱射事件で17人が犠牲になった南部フロリダ州の高校の生徒たちが呼びかけたものです
そこにはキング牧師の9歳の孫ヨランダさんの姿もありました
そして祖父の有名な演説になぞって演説しました
「私には夢がある」
「銃のない世界を夢見る」
人種差別と貧困という病理を抱え続けるアメリカ社会
しかしキング牧師は様々な脅迫や圧力に遭いながらも決して暴力に訴えることなくそれらの解消を目指して粘り強く行動しました
「夢を追い求めよう」という訴えは今の時代にこそ向けられてるように思います