こんばんは
人生の最後の時が迫った時、皆さんはどのように過ごしたいと考えでしょうか?
積極的な治療を受けずに住み慣れた自宅で穏やかに過ごしたい、そう考えていても実際には病院で延命のための治療を受けながら亡くなる方が少なくありません
そうした現状を変えていこうと国のガイドラインが11年ぶりに見直されて今月から本格的な運用が始まりました。
今夜は自分らしい最期を迎えるには何が必要か考えてきます。
まず、なぜガイドラインを見直すことになったんでしょうか
これは治る見込みがない病気になった時に、どこで最期を迎えたいか55歳以上の人に聞いた結果です。
自宅が55%、病院など医療施設が28%、介護施設が5%などとなっていて、住み慣れた自宅で最期を迎えたいと考える人が多いことがわかります。
ところが実際にどこで亡くなったのか2016年のデータを見ると、病院など医療施設が最も多く76%、自宅は13%にとどまっています。
こうした希望と現実のギャップをなくして、最後まで本人の思いに添えるようにしていこうというのがガイドライン見直しの狙いです。
今後なくなる人が増える中で本人の思いに関わらず病院で最期を迎える状況が続いていけば将来病院の受け入れ体制が追いつかなると危機感もあるわけです。
ではガイドラインはどう見直されたんでしょうか
これまでのガイドラインは人工呼吸器や心臓マッサージのなどの延命治療を始めたり中止したりする際のルールを定めていて病院での活用を想定していました。
基本原則は3つ、患者本人の意思決定を基本とすること、医師単独ではなく看護師なども入ったチームで判断すること、痛みや不快な症状を緩和するケアを充実させることです。
新しいガイドラインでもこの原則は変えていないですが延命治療だけでなく生活を支えるケアをも重視して在宅や介護の現場でも活用できるようにしています
そして、今回の最大の特徴は本人が意思を決めるまでのプロセスを重視したアドバンスケアプランニングという手法を新たに取り入れたことです。
どんな取り組みなんでしょうか
アドバンスケアプランニングのアドバンスは前もってと言う意味です。
元気なうちに人生の最終段階の医療やケアやどこでどう生きたいかといった価値観も含めて、本人が家族や医療ケアチームと一緒に話し合いを繰り返すことです。
繰り返すのは心身の状態や時間の経過とともに本人の気持ちが揺れ動くからです
その都度話し合いの内容を文書にまとめることを求めています
また自分の意思を伝えられなくなった時に備えて、自らの意思を推定する人を決めておいてその人にも話し合いに参加することを決めています
さてどうでしょうか
人生の最終段階では本人が想いを伝えられない場合が多いということを考えますと元気なうちに話し合いを繰り返すことはとても重要だと思います
今月改訂された診療報酬や介護報酬でも、みとりに対する報酬を増やすしてのガイドラインに沿った対応を現場に求めていますのでこれからアドバンスケアプランニングが広がっていくだろうと思います
問題はいくら話し合っても本人の思いに応えることが出来なければ絵に描いた餅に終わってしまうということです
こちらは最後を迎える場所を考える時に何を重要と思うか聞いた調査結果です
最も多いのが家族などの負担にならないこと、ついで体や心の苦痛なくすごせる、経済的な負担が少ないこと自分らしくいられることなどとなっています
自分のことよりも家族のことを想っている人が多くて家族に負担がかかったり苦痛を取り除いてもらえなかったりするようでは自宅を選べないという結果だと思います
国がアドバンスケアプランニングを勧めるというのならば、こうした不安を取り除いて安心して自宅で過ごせる支援体制を整えることが大切だと思います
ではどんな支援が必要なんでしょうか
これは先日自宅で103歳で亡くなられた女性がその二日前に撮った写真です
この日は孫やひ孫も来てくれて賑やかに過ごしたと言います
最後は、苦しむこともなく息子さん夫婦に見守られて穏やかに息を引き取りました
こうした穏やかな最期を迎えることができたのは地域に24時間対応してくれる医療とケアの支援体制があったからです
この女性が利用したのが看護小規模多機能型居宅介護、「看多機」と呼ばれるサービスです
自宅に看護師が来てくれる24時間365日の訪問看護と訪問介護、そして通いのデイサービス、泊まりのショートステイを組み合わせて受けられます。
医療とケアの両方に目配りできる看護師がいつでも相談に乗ってくれて家族が行き詰まった時泊まりにも対応してくれたので大きな支えになったと言います
この他にも最近は自宅と同じような環境で過ごせるホームホスピスも出てきています
自宅での生活が難しい人が一軒家に一緒に暮らして医療やケアを受けながら最後まで過ごせる場所です
これから増える一人暮らしの人にとっても頼りになる存在です
地域によって事情が違うので全国どこでもこうした支援を期待するのは難しいのかもしれませんけれど自宅で最期を迎えたい人を支える地域の取り組みが欠かせないと思うんです
そして医療やケアの質を高めるために教育や研修も強化しなければなりません
まず、看取りや生活を支える以上についてです
医師は病気を治すことは学びますけれども苦しまずに最後を迎えるための医療を学ぶ機会が大変少ないという風に聞きます
そしてコミュニケーション力を高めることも必要です
本人や家族の不安に耳を傾け、丁寧に説明し対応できるのか医療者との信頼関係があるかどうかで本人の安心感や看取った後の家族の満足度が180°違うといいます。
最後に私たち人生の終わりを迎える本人そして看取る家族の側の問題です
取材を通して感じたのは、これまで私たちが命の終わり死について考え、話すことを避けてきたことが望まない形で最期を迎えることにつながった面があるのではないかということです
私自身今回の取材で命の終わりについて関心をもって知ることの大切さを痛感しました
自分らしい最期を迎えるには何が必要なのか?
まず元気なうちに最期を迎えたいのか自分で考えてみることです
体の衰えを感じた時がそのタイミングなのかもしれません
そして、地域にどんな支援があって評判はどうなのか調べてみる
私も自分の住む地域を調べたところ様々なサービスが始まっていることに驚きました
最後は病院に行けば安心と決めてしまうのではなく地域に目を向けることがその後に役立つのだと思います
家族に思いを伝え話し合っておく、これもとても重要なことです
本人が最後まで自宅で過ごすことを望んでいても家族が安心だからと病院に連れて行ってしまうことがしばしばあるという話も聞きました
本人の強い思いと周りの理解が欠かせないと思います
人生の最終段階をどうを迎えるのか?一人一人病気や家族の状況が違うのでこうでなければならないというひとつの答えがあるわけではありません
ですが誰にでも訪れる命の終わりから目を背けずに考え調べ話しをすることはそれがその人らしい最期を迎えることになるのではないでしょう
こんばんはこれで失礼いたします