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ブックレビュー「決定版 リブラ(木内登英著)」

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「決定版 リブラ」のブックレビューと言うか、要点のまとめです。本を読む時間がない方の参考になるかと思います。リブラ(Libra)とは、フェイスブックが発行を計画しているデジタル通貨のことで、世界中からその内容については賛美両論があります。

第1章 世界に衝撃を与えたリブラ計画

従来のデジタル通貨との違い

  • 一国にとどまらないグローバル通貨
  • 価値の安定のために主要通貨のバスケットの連動
  • 大手プラットフォーマーが主導

世界の金融当局が警戒する理由は、一気に小口払いの手段として広がる。
その結果として、金融システムを不安定化させる、金融政策の有効性が低下する、マネーロンダリングに利用される、などの懸念がある。
加えて、Facebookが過去の個人データ流出問題があるので信用されていない。

リブラは、あくまでも支払い手段であって、仮想通貨のように、投資対象、価値の貯蔵を目的としていない。

通貨バスケット、ドル、ユーロ、円、ポンドなど複数通貨のレートを荷重平均して算出した価格に連動するため価格が安定してる。

リブラには、金融包摂(ほうせつ・ファイナンシャル・インクルージョン)に貢献する、という社会的な意義がある

ただ、リブラの利用が広がると巨額の収益が得られる仕組みが出来上がる。

リブラは、リブラ・リザーブといういつでも換金に応じるための金融資産を用意する。その内訳は主要法定通貨の銀行預金、短期国債になる。

リブラの利用が広がると、少なく見積もっても数兆ドルの現金がリブラに置き換わる。
そして、それに対応するリザーブを短期国債などで運用すると、年率2.0%で計算しても膨大な金額になる。

現時点の仕様では、リブラは利用者が身元を明かさずに利用できると解釈ができる。そのため、マネーロンダリングに利用される懸念がある。
金融包摂を実現するためには、身元の確認手段のない貧困層が使える必要があるため、リブラの社会的な意義に反することになる。

第2章 デジタル通貨2.0時代の幕開け

デジタル通貨は既に世界中で広く使われており、例えばケニアでは、携帯電話を使った送金手段を利用する割合が、14歳以上の人口のうち90%に達している。

中国では、アリペイ、ウィーチャットペイの決済額が、世界中のビザ、マスターカードでの決済額を既に超えている。

また、現金利用には、コストがかかり低所得者ほど多くのコストを払っていることになる。

IMFが(国際通貨基金)があげるデジタル通貨の特徴①利便性、②同時偏在性(海外送金時など)、③補完性、④取引コストの低さ、⑤信用、⑥ネットワーク効果(ネット上の口コミは一瞬で広がる)

第3章 プラットフォーマーの進撃

ネット・ビジネスでは、全体では5%が無料サービスの利用者であっても、5%の有料サービス利用者がいればビジネスは成立する「5%ルール」が成り立つ。

これは、技術革新で限界費用がゼロに近づき生産数量が無限大になり、無料サービス(フリーミアム)が可能になるためである。

「ネットワーク効果」とは、その企業が提供する製品・サービスの利用者が増加してネットワークが広がり、その価値が高まると、個々のユーザーの得られる便益が大きくなっていく。そのため、シェアが一定水準を超えるとユーザー数が一気に増える。
これがリブラで起きると、金融業で一人勝ちを可能にするため危惧されている。

逆に言えば、プラットフォーマーのビジネスモデルがこのネットワーク効果(ネットワーク外部性)と言える。

規制当局者がプラットフォーマーの金融業独占を懸念しているのは、「価格の個別化」による消費者の損失の拡大である。
プラットフォーマーは、これまでAIを使って、ネットの利用履歴から個人の嗜好を判断して広告などを個別に表示してきた。
これが金融に置き換わると、消費者が支払っても良いというぎりぎりの価格が、ネットを通じて個々の消費者に提示されることになる。しかも、この価格の提示はネット上で個々に完結するため、他の消費者に提示された価格はわからないという問題がある。

第4章 リブラは銀行制度を破壊するのか

銀行が太刀打ちできないのは、プラットフォーマーが手数料を無料にしても儲ける仕組みを持っているからである。
それに対して、銀行は伝統的に手数料収入で成り立っている。

プラットフォーマーは、利用が拡大すれば、そこから得られる取引履歴などの情報を蓄積し、それをターゲット広告等に利用するなどのビジネスモデルを持っている。

仮に、銀行がスマートフォン決済サービスなどに参入し、顧客の取引履歴を入手したとしても、プラットフォーマーのようにそれを本業に活用することは難しいと思われる。

ただ、銀行がいつまでも手数料収入にこだわっていると、スマートフォン決済サービスの分野での競争は益々厳しくなるが、これまでの中核が手数料収入だっただけにこれも難しい。

リブラなどのデジタル通貨が決済に使われるようになると、銀行預金が流出してデジタル通貨に流れ込む、ただその資金をリブラなどは銀行預金として保有するので、再び銀行に戻ってくる。
ただ、その預金先として使われるのは恐らく大手銀行であり、中小の銀行では預金が流出して経営が厳しくなることが予想される。

第5章 中央銀行と国家に挑戦するリブラ

中央銀行の収益は、シニョレッジによって支えられている。
シニョレッジとは、市場へのマネー供給によって得られる利子所得のことだが、リブラによって現金が使われなくなると、この利子所得は大幅に減少する。

リブラにより現金が使われなくなると、従来銀行が預金の金利を上げ下げしたり、貸出姿勢を変えたりするで経済活動に影響を与えることによる金融政策の効果を下げることになる。

中央銀行がリブラに対抗するデジタル通貨を発行するとこれらの問題はほぼ解消されるが新たな問題が起こる。

1つは、民間銀行の現金が中銀デジタル通貨に移動しやくなること、もう一つは、履歴がすべて中銀に取引履歴を把握される。

ただし、中銀デジタル通貨は、民業圧迫となる。

自国通貨の信用力の低い国では、自国法定通貨が急速にリブラに置き換わることにより国の通貨主権を脅かされる。

第6章 リブラは米中通貨覇権戦争の引き金に

リブラ・リザーブの半分はドルで、人民元は含まれない。

リザーブは、中国のアリババ、テンセントのアリペイ、ウィーチャットペイに対抗する意味がある可能性がある。

中国は、GAFAに対抗したBATHでのデジタル覇権、そして、通貨覇権も目論む。

人民元の国際化に遅れた中国は、外貨準備高が伸びないこともあり焦りがある。

デジタル人民元とも言える、中銀デジタル通貨を発行することで一気に世界制覇を目論む可能性がある。

第7章 2025年の金融予想図

従来の新規参入規制は、大手プラットフォーマーの金融規制には使えない。

特に注意すべきは、「データ保護の規制」によるデータ活用規制、データ共有である。

プラットフォーマーにより金融事業を通じて得られた個人データは、それの共有を促すデータ共有規制が必要である。

大手プラットフォーマーによる金融サービスを既存の金融サービスと区別しないで、既存の銀行制度の中に取り入れていく考え方が重要である。

リブラなどには中銀当座預金を保有させることで、中銀デジタル通貨と民間デジタル通貨の中間形態の性格を帯びるにようにできる。

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